獣医内科学の成書には、実に様々な疾患の原因、症状、検査、治療、予後が記載されている。しかし、この成書には絶対的に不足している情報がある。それは、ペットのオーナーの姿勢や感情だ。果たして、彼らは、愛犬・愛猫の病気にどのような姿勢で臨んで、どのような感情を抱いているのだろうか。これは、スムーズで効率的な診療を実現し、且つ、治療効果を最大限にする上で大変に重要なことである。
冒頭のような背景の中、イギリスはブリストルの大学および動物病院らは、同国内で慢性腎臓病の猫を飼育しているオーナーを対象にして、病気に対する経験、姿勢、感情について聴き取る研究を行った。すると、100名のオーナーから回答を得て、以下に示す事項が明らかになったという。
◆愛猫が抱える慢性腎臓病に向き合うオーナーの姿勢と感情◆
・73%のオーナーが愛猫のIRIS分類のステージを認識していた
・76%が腎臓病用の療法食を使用していた
・35%がリン吸着剤を使用していた
・26%がサプリメント(天然成分)を使用していた
・25%が抗タンパク尿療法を実施していた
・99%が病気に対する不安感を抱えていた
・72%が病気を診断された時に「予後」について強い心配や不安の感情を抱いていた
・50%が研究期間終了時点で「予後」について強い心配や不安の感情を抱いていた
・63%が病気を診断された時に「QoL」について強い心配や不安の感情を抱いていた
・46%が研究期間終了時点で「QoL」について強い心配や不安の感情を抱いていた
・66%が診断されてから日常生活が大きく変わったと回答した
・37%が愛猫の病気によって生活状況が悪化し、制約を感じていると回答した
上記のことから、愛猫の慢性腎臓病を心配し、不安を感じているオーナーが非常に多いことが窺える。また、その割合は、特に診断時で大きいいことも分かる。よって、猫の慢性腎臓病を診断し、オーナーに説明する時は、彼らの心配や不安を可能な限り払拭することに努めて頂けると幸いである。

70%のオーナーが、獣医師の推薦で療法食の使用を決断したとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40235283/


