100%安全という保障は不可能であるからこそ、麻酔は最大限に安全なプロトコルで実施することが大切である。そのためには、術前に動物の状態を把握する検査を行うことが重要となってくる。そして、必要に応じてプロトコルを変更することが望ましいのだ。では実際のところ、麻酔前の検査でプロトコルが変更される可能性はどれくらいあるのだろうか。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、過去6ヶ月(2017年12月~2018年6月)においてスペインの大学付属動物病院で全身麻酔をかけられた犬220匹以上を対象にして、彼らの心電図検査と麻酔のデータを解析する研究を行った。なお、同研究に参加した犬は、心臓病と診断されたことのない個体のみで構成されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆麻酔前の心電図検査が犬の麻酔プロトコルに及ぼす影響◆
・約32%の個体の心電図検査で異常が検出された(①)
・異常所見には②P波の異常、③心室性期外収縮、④伝導路の異常、⑤徐脈が含まれていた
・①の約15%(11匹)で麻酔プロトコルが変更された
・④と⑤がプロトコルの変更に関連していた
上記のことから、心電図検査で麻酔プロトコルの変更がなされる可能性は5%弱であることが窺える。稀ということになるが、可能性はゼロではないと捉えることができる。この可能性をどう考えるか獣医師個々人で検討し、麻酔をする前の検査について犬のオーナーと相談をして頂けると幸いである。

②③④は心エコー図検査を実施する可能性を高めたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38975620/


