慢性的な跛行を理由として、11歳齢のスプリンガ―・スパニエル(去勢オス)が右前肢の切断術に臨んだ。彼は、跛行以外に症状は無く、それを除けば至って健康であった。手術は無事に終わる。そう思われた矢先、異変が起きた。腕神経叢を観察中に、二酸化炭素分圧が低下したのだ。加えて、心拍数と呼吸数が増加し、SpO2は98%から78%に下がってしまったのである。一体、何が起こったのだろうか。
麻酔器の故障ななかった。そして、症例の循環器にも異常はなかった。スタッフが話し合いをする。血ガスの分析も実施された。原因不明と言わざるを得ない状況で、手術を担当していた獣医師が気が付く。腋窩静脈に空気が侵入していたのだ。空気塞栓症だった。
塞栓症の解消にあたると、麻酔関連のパラメータは改善した。手術は無事に終了。症例は退院に漕ぎ着けた。論文を発表したグラスゴー大学は、断脚術において空気塞栓症のリスクを認識する必要があると述べる。また、当該疾患の早期発見は重要だと訴える。よって、同様のトラブルに遭遇した獣医師は、空気塞栓症の可能性を探って頂けると幸いである。

空気塞栓症に対処した40分以内でパラメータは改善したとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40118772/


