10週齢のジャーマン・ショートヘアード・ポインターが、反応が鈍く四肢が麻痺しているとしてアメリカの動物病院を訪れた。画像診断の結果は、頭蓋骨の陥没骨折および脳出血。外傷に伴って脳に損傷が生じたことが原因であるようだった。直ちに外科手術で治療される。原因は解消された。と思った矢先、症例の血液量が減少し、低ナトリウム血症に陥った。果たして、何が起こったのだろうか。
静脈内に食塩水が投与され、経腸的にもナトリウムが補給された。すると、低ナトリウム血症は改善した。しかし一方で、尿酸の排泄率が上昇していることが発覚した。ここにヒントがあった。血液量(体液量)の減少。低ナトリウム血症。尿酸の排出増加。全ては、中枢性塩類喪失症候群(cerebral salt-wasting syndrome、CSW)に関連した症状であった。何らかの理由によって脳が損傷し、血液中の成分が不適切に排泄される病的現象が起きていたのだ。
論文を発表したノースカロライナ州立大学は、尿酸の排泄率を測定したことが診断の鍵であったと述べる。よって、万が一、類似した病態の犬に遭遇した場合は、血液中や尿中の尿酸濃度を測定することを検討してみると良いかも知れない。

CSWという病的現象を、頭の片隅に置いておいて頂けますと幸いです。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1553617/full


