静脈に注入する抗ガン剤を使用する時、最も気を付けるべきことに「血管外への薬剤の漏出」が挙げられる。なぜならば、周囲の正常な組織に損傷を齎す可能性が高まり、その対応に追われてしまうからだ。そこで、本稿では、抗ガン剤の血管外漏出の現状に関するアメリカの大学らの研究を紹介したい。化学療法に纏わる知識として、心に留めて頂けると有難い。なお、詳細は以下の通りである。
◆化学療法を受けた犬猫に起きた抗ガン剤の血管外漏出の現状◆
・犬20匹、猫3匹が対象になった
・78%で治療開始から4回目までの抗ガン剤投与において血管外漏出が起きていた
・30%は1回目の投与で血管外漏出が起きていた
・最も報告が多い抗ガン剤は①ドキソルビシンであった
・次いで②カルボプラチンが続いた
・約87%の症例で有意事象が発生した
・①の漏出による有害事象は無し〜重度まで幅広かった
・②の漏出による有害事象は中程度であった
・ビンカアルカロイドやラバクホサジンの漏出による有害事象は軽度から中程度であった
・ミトキサントロンとダカルバジンの漏出による有害事象は無かった
・①の漏出(全体で9例)によって1例は安楽死となった
・2例は四肢の切断となった
上記のことから、抗ガン剤の血管外漏出では有害事象が発生する可能性が高く、重症例では断脚や安楽死もあり得ることが窺える。また、治療開始から4回目までの薬剤投与で血管外漏出が起きる確率が高いようである。よって、これから化学療法に臨む犬猫の診察を担当する獣医師は、抗ガン剤の血管外漏出に細心の注意を払うことをお薦めする。

②の血管外漏出にはデブリードマンが適応されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40135393/


