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アメリカの一次診療施設における犬の問題行動と向精神薬の処方状況

投稿者:武井 昭紘

ペットの問題行動の一因に、彼らの精神的な背景が挙げられる。例えば、ストレスや不安を抱えているペットには、攻撃性行動、常同行動、分離不安症などの症状が現れるのである。そして、これらの症状を解決するべく、向精神薬が使用されることがあるのだ。しかし、この時、向精神薬の使用が必ず正しいとは言い切れない。問題行動の捉え方(診断)が間違っていると、薬剤の不適切な使用が繰り返されてしまうのだ。では実際のところ、薬剤の使用実態はどうなっているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、過去11年間(2010年~2020年)において同国の一次診療施設を訪れた犬の診療記録を解析し、問題行動に関する診療と向精神薬の処方状況について調べる研究を行った。すると、3200万件以上の診療記録から、以下に示す事項が明らかになったという。

◆一次診療施設における犬の問題行動と向精神薬の処方状況◆
・母集団の5%に問題行動の記載があった
・その割合は2010年の1%から2020年の10.2%へと10倍に増加した
・母集団の0.02%にフルオキセチンが処方されていた
・母集団の0.03%にクロミプランが処方されていた
・母集団の1.33%にトラゾドンが処方されていた
・問題行動の記載がある犬の0.14%にフルオキセチンが処方されていた
・問題行動の記載がある犬の0.15%にクロミプランが処方されていた
・問題行動の記載がある犬の8.4%にトラゾドンが処方されていた
・診療記録に問題行動の記載がある犬の70%には「本研究が定義する問題行動」は認められなかった

 

上記のことから、一次診療施設で診断される問題行動と、研究レベルで判定される問題行動の定義にはギャップがあることが窺える。つまり、小動物臨床における問題行動の定義が統一されておらず(曖昧で)、向精神薬の使用が不適切である可能性があるのだ。よって、今後、向精神薬を使用するべき症例の判別方法について議論され、不要な向精神薬が投与される犬が減ることを期待している。

大学らは、一次診療施設で犬に向精神薬が処方される確率は低い状況にあると述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40107234/


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