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7年間に渡ってオクラニシチブを投与された犬に起きた腹部膨満と元気消失の原因

投稿者:武井 昭紘

12歳齢のマルチーズ(不妊メス)が、韓国の動物病院を訪れた。彼女はアトピー性皮膚炎で、オクラニシチブによる治療を受けていた。期間にして7年。非常に長い間、投薬していたようだ。そんな彼女が腹部膨満と元気消失を呈した。一体、何が起こったのだろうか。

臨床症状は勿論のこと、血液検査およびホルモン検査の結果から、内分泌疾患が示唆された。しかも、2つ同時に発症していることが疑われたのである。その2つとは、副腎皮質機能低下症と甲状腺機能低下症だ。併発の状況から見て、両内分泌器官に自己抗体が作られた、いわゆる多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmune syndrome、PAS)が想定された。そのため、自己抗体の存在が探られる。サイログロブリン抗体は陰性であったものの、21-水酸化酵素に対する抗体は陽性であった。PASという診断を裏付けるものとなった。オクラニシチブは中止。ステロイド剤と甲状腺ホルモン剤での治療が始められた。28日後、この時点での再診では、臨床症状が改善していた。また、薬剤の副作用も認められなかった。

論文を発表した韓国の大学および動物病院らは、オクラニシチブの免疫調整作用に着目して、同薬剤の長期投与が自己抗体を誘導したと結論付けた。そして、長期投与の場合では、定期的なモニタリングとオクラニシチブの用量調整が推奨されると述べる。よって、万が一、類似した治療歴・病態を持つ犬に遭遇した際は、内分泌に関する検査を検討して頂けると有難い。

大学らは、サイログロブリン抗体が検出できなかったことについて、甲状腺機能低下症(甲状腺炎)の病態が進んだ最終段階では抗体が消失し、検査が陰性になることがあると述べています。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1535272/full


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