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既存の治療法で回復傾向を見せない熱傷を抱える猫に起きた異変

投稿者:武井 昭紘

4歳齢の猫が、首から肩甲骨にかけて広かった熱傷の治療のためにアメリカの動物病院を訪れた。いわゆる化学火傷だった。初期の治療は、外科処置(デブリード)をして、抗生剤とステロイドを投与する基本的なものであった。しかし、残念ながら、完全には治癒しなかった。経過が良好だなと思った矢先、つまり、熱傷が治りかけたなと判断できるタイミングで、新たな症状が出現してしまったのだ。猫が自傷行為を始めたのである。それはまるで、掻痒感を訴えているようであったという。あるいは、精神的なストレスが「そう」させたのかも知れなかった。一体、何が起こっているのだろうか。

免疫抑制剤であるシクロスポリンも奏効しなかった。ガバペンチンも、アマンタジンも、鍼治療にさえ反応しなかった。ここで、担当獣医師はヒトの事例を参考にして、ある薬剤の使用を決断した。それは、電位依存性ナトリウムチャネルを強力に、且つ、選択的に阻害する化合物であった。当初、この化合物はガバペンチンと併用され、猫の掻痒感(疼痛)を大幅に抑える効果を発揮した。その後、ガバペンチンは漸減されていった。しかし、症状がぶり返すことはなかった。

熱傷を負ったヒトの約6%には、神経の損傷に伴う疼痛が発生するとされており、Burn-related neuropathic pain(BRNP)と呼ばれている。論文を発表したフロリダ大学は、本症例は正にそれに該当すると述べる。読者の皆様は、類似の病態に心当たりがあるだろうか。あるならば、その症例はBRNPを呈していたかも知れない。

本症例はスコアリングシステムによって、1日に4〜7時間は掻痒感(疼痛)を感じていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39863517/


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