マダニはヒトや犬猫に寄生し、様々な感染症を媒介することが知られている。そのため、マダニを見付けやすい服装をするように気を付けたり、犬猫のマダニ予防を実施することが重要だとされているのだ。言い換えると、マダニが体に付着することを避けることが大切だと言えるのである。そこで、疑問が浮かぶ。マダニが体に付着するリスクを上げるファクターとは一体、何であろうか。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および研究所らは、小動物臨床に纏わる調査をするためのネットワーク(Small Animal Veterinary Surveillance Network、SAVSNET)に登録されている犬猫の診療記録700万件以上を解析し、そのファクターを特定する研究を行った。なお、同研究では、地理・地域的なファクターと個体(宿主)側のファクターについて検討されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆マダニが犬猫の体に付着するリスクを上げるファクター◆
・マダニに関する記載がある診療記録は11741件であった(記録全体の0.16%)
・犬猫に共通するファクターは下記の通りである
1.ジュニア世代、若い成体であること
2.中毛~長毛種であること
3.交雑種であること
4.品種が分類されていないこと
・猫でファクターになっていることは下記である
1.オスであること
2.不妊・去勢手術をしていないこと
・気温、降水量、植生もファクターとなっていた
・森林や草地でリスクが上がった
・夏季(特に6月)でリスクが上がった
上記のことから、犬猫の体に付着するリスクを上げるファクターが存在していることが窺える。よって、条件に一致する場合は、ペットを飼育する世帯にマダニ予防を推奨することが望ましいと思われる。

地理・地域的なファクターは、2014年~2021年の間で月単位、km単位の範囲で解析されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38254168/