犬にも猫にも人にも寄生するネコノミは、それ自体が皮膚炎の原因になるとともに、瓜実条虫、猫ひっかき病などを媒介する公衆衛生上重要な寄生虫である。そのため、ペットにノミが寄生することを予防することが大切だと言われている。しかし、全ての犬猫がノミ予防をしている訳ではなく、3分の1の世帯では定期的な予防をしていないとされている。つまり、前述した感染症の拡大を防ぐためには、ノミ予防に積極的ではないオーナーに動機を与える必要があるのだ。
そこで、アメリカの大学らは、気象条件(気温と湿度)を用いて
ノミの活動性(これからの1週間)を予測する数学的モデルと、過去においてノミが出現した時期の一致性を確認する研究を行った。なお、ノミが出現した時期は、Googleで「ノミ」と検索された地域・タイミングを基に算出している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆数学的モデルとノミが出現した時期◆
・2016年の一致性は0.65であった
・2017年は0.70であった
・2018年は0.66であった
・2019年は0.71であった
・2020年は0.63であった
・ノミの活動性が高まる可能性は夏季に多かった
・モデルのパフォーマンスは地域差が大きかった
・大西洋沿岸(東南部)の州では0.81と高かった
・山岳部の州では0.45と低かった
上記のことから、数学的モデルの予測精度は年によって、あるいは、地域によって差が出ることが窺える。よって、今後、諸条件での精度のブレを補正するシステムが開発され、「絶対的に」予防した方が良い時期を特定する数学的モデルが誕生することを期待している。また、そのモデルを活用する啓蒙方法が考案され、予防医学がより浸透していくことを願っている。

今年も予防の時期を迎えましたので、ノミ予防を始めていきましょう。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38254213/