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猫の新生仔の成長率および死亡率を左右するファクターに関する研究

投稿者:武井 昭紘

猫科動物において、生後2ヶ月齢の幼若個体の死亡率は約10%だと言われている。無論、自然の摂理の中である程度の犠牲はやむを得ないのかも知れないが、獣医学を進歩させる上でも、死という苦しみに瀕する幼若個体の福祉を向上させる上でも、死亡率を高めるファクターを知って適切なケアを考えることは重要だと思われる。果たして、どのような個体が亡くなってしまうのだろうか。また、その死は幼若個体の宿命とも言える「成長」と関連しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、フランスの大学およびロイヤルカナン社らは、同国内で猫を飼育する施設190軒以上から5500匹を超える子猫のデータを収集し解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆子猫の成長率および死亡率を左右するファクター◆
・①低出生体重の子猫は②正常な出生体重の子猫より成長率が高かった
・①のうち生後1週間程度の初期成長が遅い子猫(下位25%)は生後2ヶ月までに死亡する可能性が有意に高かった
・①②に関わらず生後2日目までの体重が増加しない子猫は生後2ヶ月までに死亡するリスクが上がった

 

上記のことから、低出生体重で成長が遅い子猫、生後2日目になっても体重が増えない子猫では死亡する可能性が高まることが窺える。一方で、低出生体重であっても、その時点で悲観することはなく、これからの成長が期待できることも分かる。よって、今後、生後2ヶ月までに死に瀕する可能性を持つ子猫を特定する体重・成長モニタリング法が考案され、且つ、死を回避する体重管理法(給餌法)について議論されることを願っている。

体重が増えない猫の新生仔を世話する場合は、直ちに動物病院へ相談しましょう。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39021408/


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