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椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けたブレンチ・ブルドッグに起きる消化器症状

投稿者:武井 昭紘

短頭種の代表格、フレンチ・ブルドッグは椎間板ヘルニアになりやすいと言われている。また、当該疾患に対する外科手術を受けた症例では、消化器症状が合併症として発現するようなのだ。果たして、その実態とは。

 

冒頭のような背景の中、イギリスの動物病院らは、過去7年間(2017年1月~2023年4月)において椎間板ヘルニア(頚部、胸部、腰部)に対する外科手術を受けたブレンチ・ブルドッグを対象にして、消化器症状の発生状況を調べる研究を行った。なお、同研究では、嘔吐、下痢、逆流を消化器症状としている。すると、90例以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けたブレンチ・ブルドッグに起きる消化器症状◆
・入院中に約76%の症例で消化器症状が発生した(①)
・約24%の症例には消化器症状が起きなかった(②)
・術前では約34%の症例に消化器症状が起きていた
・術後では約66%の症例に消化器症状が起きていた
・症状の発生頻度は1症例につき4.9回であった
・下痢が最も多い症状であった(①の約69%)
・次いで逆流(約51%)、嘔吐と続いた(約30%)
・症状は平均して2.2日以内に消失した
・②(3.7日)に比べて①(4.6日)の入院期間は有意に長かった
・消化器症状の発現と麻酔時間が有意に関連していた
・神経症状の重症度、病変の位置、術式は消化器症状と関連していなかった

 

上記のことから、椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けたブレンチ・ブルドッグでは術前後に消化器症状が発生することがあり、麻酔時間が長いと術後に症状が目立つことが窺える。また、その結果として、入院期間が延長することも分かる。よって、同品種の手術では可能な限り麻酔時間を短くすることをお薦めする。

C6-T2にヘルニアが発生した症例は1匹もいなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1460092/full


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