ニュース

バイポーラまたはCO2レーザーを用いた短頭種気道症候群の手術と組織の損傷

投稿者:武井 昭紘

短頭種気道症候群、特に軟口蓋過長症を外科的に治療しようとする時、そこには手術器具の選択という問題が生じる。言うまでもなく、軟口蓋は軟部組織である。しかも、呼吸に関わる喉頭部の組織だ。もしも仮に、長過ぎる軟口蓋を切除・形成するとなれば、可能な限り組織に残るダメージを減らし、炎症を最小限に抑えることが求められるのである。ならば、どうするか。メスで切るか、①バイポーラや②CO2レーザーを使用するか。それとも・・・。ダメージがより少ない手段は何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物病院らは、口蓋形成術に臨む犬20匹を対象にして、①のシステムで血管シーリングをする医療機器と、②で生じる組織の損傷(ダメージ)を比較する研究を行った。なお、同研究では、犬を10匹ずつの2つのグループに分け、①または②を適応している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆①または②を用いた口蓋形成術と組織の損傷◆
・組織の損傷レベル(4段階)は①で3.7±0.48、②で2.8±1 であった
・熱傷の深さは①で874.94±184.92 μm、②で451.76±137.86 μmであった
・①に比べて②の熱傷の程度と範囲は有意に小さかった

 

上記のことから、①よりも②の方が組織の損傷が少ないことが窺える。よって、両方の医療機器が揃っている動物病院では、②を選択することが望ましいと思われる。

手術で切除された組織はホルマリン固定後にHE染色されているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39002814/


コメントする