4歳のポメラニアン(メス)が、韓国の動物病院を訪れた。何でも、舌の色が悪く(茶色味を帯びている)、尿の色も変化して、浮腫に嘔吐を呈しているとのことだった。赤血球に悪影響を及ぼす中毒が疑われる中で、血液塗抹標本が作製された。偏心赤血球とハインツ小体。赤血球が酸化していることが示唆された。加えて、血液検査でも異常が見つかった。赤血球の容積は劇的に減少し、メトヘモグロビンの値が上昇していた。果たして、この酸化の原因とは一体何であろうか。
抗酸化剤、メチレンブルー、酸素療法に輸血。手は尽くした。しかし、再発をした。一度ではなく、繰り返し再発した。原因が掴めないまま、試行錯誤が行われた。オーナーは、民間療法にも頼っていた。香料が含まれる日用品を使用していた。状況が悪化する中で、全てを「無し」にする試みがとられた。すると、再発は起こらなくなっていた。
論文を執筆した韓国およびスイスの大学らは、本症例を日用品(フレグランス類)に起因する赤血球の酸化障害(溶血性貧血)として発表した。そして、犬におきる謎の溶血性貧血では環境中の物質を鑑別リストに追加するべきだと述べる。ヒトにとっては無害でも、小型犬にとっては有害になるものがあると訴える。読者の皆様は、再発を繰り返す、原因が掴めない犬の溶血性貧血に遭遇したことはあるだろうか。もしも、あるならば、飼育環境の改善を図ってみると良いかも知れない。

大学らは、メチレンブルーによる抗酸化療法は有望だと述べています。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39231789/


