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原因不明の腹水を伴って腹部膨満になった猫の1例

投稿者:武井 昭紘

1週間に渡って腹水を認める猫(去勢オス、9歳齢)が、韓国の動物病院を訪れた。原因は不明。身体検査で腹部膨満、超音波検査で大量の腹水が確認された。加えて、腸間膜と腹部の脂肪は高エコー源性となっていた。検査を実施した獣医師には、浮腫が起きているように見えたという。脂肪組織のFNAが行われた。そこには、脂肪細胞、貪食マクロファージ、好中球が存在していた。果たして、彼の身に何が起こったのだろうか。

腹部のCT検査に進む。膵左葉に腫瘤が発見された。腹腔鏡で探索すると、腫瘤は周辺の臓器と癒着をしており、腹膜炎の様相を呈しているようであった。プレドニゾロン、ビタミンEにタモキシフェン(腫瘍の増殖を抑える)。内科治療が開始されるも、20日余りで彼は死亡した。剖検にて、膵臓の腫瘤は腺癌(膵管を起源)だと判明した。胃や腸に癒着をしている状態であった。また、肝臓、胃、腹膜、腸間膜、腸間膜リンパ節、肺、膀胱から転移病巣が検出された。

腹水の原因は様々あれど原因不明となれば、本症例のように腫瘍を念頭に置かなければならないだろう。とはいえ、癒着に転移を生じれば、全体像の把握は容易ではない。どこまでの検査・治療を希望するか。オーナーと良く話し合って頂けると幸いである。

症例を発表した韓国の大学によると、本病態の報告は初めてだとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39144080/


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