血液中に含まれるクレアチニンおよびSDMAは、猫の慢性腎不全を診断する上での有用なバイオマーカーである。一方、腎臓には慢性経過を辿る病気の他に急性経過、いわゆる急性腎障害が起こることが知られている。そのため、クレアチニンおよびSDMAを含めて、急性腎障害を診断するバイオマーカーの確立が求められているのだ。そこで、一つのテーマとなっていることが、「クレアチニンやSDMAが急性腎障害の診断マーカーとなり得るのか」を検証することなのである。
冒頭のような背景の中、ワシントン州立大学は、臨床上健康な猫に起きる、消炎鎮痛剤誘発性の腎障害とクレアチニン・SDMAの関連性を調べる研究を行った。なお、同研究では、猫12匹を①メロキシカム投与群(0.3mg/kg SC q24h 31days)の6匹と②コントロール群(生理食塩水 0.1mL SC)の6匹に分け、両群の測定値を比較している。また、腎障害の有無は病理組織学的に実施され、尿細管や基底膜の障害、間質性の炎症の有無で判定されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆メロキシカムで誘発された猫の腎障害とクレアチニン・SDMAの関連性◆
・①の4匹にクレアチニンの上昇と病理組織学的な異常所見が認められた
・うち3匹でSDMAが上昇していた
・クレアチニンの上昇を認めてから高窒素血症になるまでの期間とSDMAの上昇を認めてからの期間に有意差はなかった
上記のことから、慢性腎臓病の診療では一般的にSDMAの方が初期の病態を検出できるとされているが、メロキシカムで誘発された猫の腎障害ではクレアチニンとSDMAに優劣を付けることが難しいと言える。よって、今後、急性腎障害の初期を把握するためのバイオマーカーの開発が更に進むことを期待している。

クレアチニンとSDMAの測定は4日ごとに実施されたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38812562/


