ニュース

オランダ居住者の旅行と彼らの狂犬病に対する知識に関する研究

投稿者:武井 昭紘

当然のことではあるが、狂犬病が蔓延している国への旅行には感染症のリスクが伴う。しかし、全ての旅行者が狂犬病に対する知識を持っているとは限らないのが現状である。そこで、疑問が浮かぶ。旅行者のうち、どれくらいの割合が知識を持っているのだろうか。そして、何を知らずして、危険行為(動物との接触)に及んでいるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、オランダの大学らは、同国に居住し国外に旅行した成人270名以上を対象にして、旅行の前における狂犬病に対する知識と、旅行中の危険行為(帰国後に聴取)について調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆オランダ居住者の旅行と彼らの狂犬病に対する知識◆
・80%以上の成人が狂犬病流行国を訪れた
・約52%が何らかの形で動物と接触していた
・約22%で知識レベルが低いと判定された
・約27%は猫が狂犬病を媒介すると知らなかった
・約14%はコウモリが狂犬病を媒介すると知らなかった
・約19%は負傷した皮膚を動物に舐められた場合に曝露後接種が必要であることを知らなかった
・約36%は出血を伴わない切り傷を舐められた場合も曝露後接種が必要であることを知らなかった
・約28%は曝露から24時間以内にワクチン接種をする必要があることを知らなかった
・2名のみが狂犬病に感染した恐れを報告した
・1名のみが曝露後接種を実施した
・動物と接触するリスクを上げる要因は下記の通りであった
1.猫や犬に定期的に触れていること(国内外問わず)
2.旅行期間が長いこと
3.幼少期にペットを飼っていたこと
4.動物好きであること

 

上記のことから、一定数の旅行者が何をしたら狂犬病に感染するのか、または、狂犬病の感染の恐れがある時に何をすれば良いのかを知らないことが窺える。よって、今後、国外へ旅行する人々に狂犬病に関する知識を教えるシステムが構築され、同感染症の犠牲者が一人でも多く減ることを願っている。

動物好きの方が狂犬病流行国へ旅行する際は、気持ちは重々分かりますが、触りたい気持ちをグッと抑えて頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39009201/


コメントする