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CHOPプロトコルが完遂できなかったリンパ腫の犬の転帰に関する研究

投稿者:武井 昭紘

リンパ腫と診断された犬には化学療法が適応される。その代表例がCHOP療法である。しかし、同療法が奏効しない症例が存在しており、化学療法剤を変更したレスキュー療法が必要になる場合があることが知られているのだ。だが、そうであったとして、これらの症例の長期的な転帰は悪いものになるとされている。では果たして、悪くなる要因とは一体何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、最初にCHOP療法を受けて、且つ、次にレスキュー療法を受けた多中心型リンパ腫の犬180匹以上の転帰を調べる研究を行った。なお、同研究におけるレスキュー療法とは、ロムスチン、L-アスパラギナーゼ、プレドニゾンによるLAP療法、または、ラバクホサジンによるRAB療法(L-アスパラギナーゼ、プレドニゾンの併用は問わない)である。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆CHOPプロトコルが完遂できなかったリンパ腫の犬の転帰◆
・CHOP療法開始後の無増悪期間はレスキュー療法の奏効率、レスキュー療法後の無増悪期間と生存期間に影響を与えた
・リンパ腫の免疫表現型(B細胞、T細胞)はLAP療法の成績に影響を与えなかった
・一方でRAB療法の成績には影響を与えた(T細胞リンパ腫で転帰は悪くなる)

 

上記のことから、CHOP療法開始後の無増悪期間が短い症例、T細胞リンパ腫に対するRAB療法を受けた症例の転帰が悪いことが窺える。よって、今後、CHOP療法開始後の無増悪期間を延ばす方法について議論され、犬のリンパ腫の治療成績が向上することを期待している。

リンク先の論文には具体的な数値が明記されておりますので、ご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38961691/


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