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肥満を抱える犬の糖尿病リスクと血清中アディポネクチン濃度

投稿者:武井 昭紘

不妊・去勢手術後に肥満となった犬の研究によると、手術後に標準体重を維持した犬に比べて肥満の犬では血清中アディポネクチン濃度が有意に低いという。一方、話は変わるが、肥満は糖尿病の原因であると言われている。つまり、この2つの事柄を総合すると、血清中アディポネクチン濃度は肥満と関連し、糖尿病の引き金になると考えられるのだ。

 

冒頭のような背景の中、中国の大学および動物病院らは、4年間(2015年~2018年)に渡って肥満の犬の血清中アディポネクチン濃度を測定し、診療記録を用いて彼らの経過を3年間追跡する研究を行った。すると、850例以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆肥満を抱える犬の糖尿病リスクと血清中アディポネクチン濃度◆
・約6%の症例が糖尿病を発症した
・血清中アディポネクチン濃度は糖尿病の発症と関連していた
・同濃度が低いグループの糖尿病リスクは約7.8倍であった
・同濃度が中程度のグループの糖尿病リスクは約2.0倍であった
・同濃度が高いグループの糖尿病リスクは約0.8倍であった

 

上記のことから、血清中アディポネクチン濃度の高低はその個体の糖尿病リスクを反映していることが窺える。よって、今後、同濃度を活用した糖尿病リスク判定法が確立され、そのリスクに応じた体重管理法が考案されることを期待している。

本研究では、性別、年齢、品種、運動強度、BCS、空腹時血糖値、トリグリセリド、総コレステロールの数値のバラつきを補正しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38957893/


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