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オーナーと獣医師のコミュニケーションが犬のデンタルケアに与える影響

投稿者:武井 昭紘

歯周病は、犬に良く見られる最も一般的な健康問題の一つである。一方で、歯周病は予防ができる病気の一つとしても知られているのだ。そのため、歯垢を除去して歯石の沈着を防ぐデンタルケアを日々行うことが重要とされている。しかし、獣医師がオーナーにデンタルケアを薦めても続かないのが現状である。果たして、どうすれば続けてくれるのだろうか。犬の性格、嫌がる行動を差し引いたとして、動物病院側に出来ることはないものだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、獣医師とオーナーのコミュニケーションに着目して、自宅でのデンタルを続けるための秘訣を探す研究を行った。なお、同研究では、若齢の犬を飼育しているオーナー75名が対象となっており、彼らを①従来のデンタルケアに関するアドバイス主体のコミュニケーションを取るグループ、②動機付け面接によってコミュニケーションを取るグループ、③デンタルケアに関する特段のコミュニケーションをしないグループに分けている。また、①と②では毎年、電話再診による追加のコミュニケーションが図られている(3年間継続)。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆オーナーと獣医師のコミュニケーションが犬のデンタルケアに与える影響◆
・③に比べて②で歯磨きの頻度が有意に増加した
・③に比べて②の歯垢スコアが有意に低かった
・③に比べて①の歯石スコアが有意に低かった
・①と②では有意差が認められなかった

 

上記のことから、①であれ②であれ定期的なコミュニケーションが犬の歯周病リスクを軽減することが窺える。よって、一度のアドバイスや診察でオーナーの行動が変わらなかったとしても、諦めず「それ」を繰り返すことが重要だと思われる。

大学らは、コミュニケーションが齎す歯周病リスク軽減効果が小さいとして、更なる研究が必要だと述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38596465/


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