ノミアレルギーは、ノミが吸血する際に動物の体内に侵入した唾液に対するアレルギーで、その動物が飼育されている環境におけるノミの有無に関わらず、予防歴、皮膚病変のパターン、血液検査を総合して診断する病気である。そのため、皮膚病変のパターンから一早くノミアレルギーを疑い、鑑別疾患に含めることが重要なのである。では実際のところ、そのパターンとはどのようなものなのだろうか。
冒頭のような背景の中、カンザス州立大学および動物病院らは、猫のアレルギー性皮膚炎で生じる病変のパターンを評価するスコアリングシステムであるSCORing Feline Allergic Dermatitis scale (SCORFAD) の改良版を利用して、ノミアレルギーが疑われる猫140匹以上の皮膚病変を80日間観察する研究を行った。なお、同研究では、観察開始0日目の時点で猫の体または飼育環境にノミが5匹以上確認された症例のみを対象にしている。また、症例らは観察0日目においてイソキサゾリンによる治療を継続的に受けている。すると、最も一般的な病変は、腹部腹側に認められる脱毛症(猫自身が掻いたことによる)であり、次いで頚部の粟粒性皮膚炎が続くことが判明したという。
上記のことから、猫のノミアレルギーでは特定の皮膚病変のパターンが出現しやすいことが窺える。ノミ予防歴が無く、腹部や頚部に皮膚病変が認められる猫ではノミアレルギーを疑うことが望ましいと思われる。

観察開始80日目の時点で、SCORFADのスコアが80%減少したとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38887958/