犬回虫・猫回虫がヒトに感染するトキソカラ症(14億人に影響を及ぼしている)では、回虫が内臓、脳、眼に迷い込む幼虫移行症を起こすことがあり、感染者に甚大な健康被害を齎すことが知られている。そのため、この幼虫移行症を的確に診断するバイオマーカーの開発が求められているのだ。
冒頭のような背景の中、中国の大学らは初期段階として犬回虫をマウスに感染させ、彼らの血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)を調べる研究を行った。なお、同研究では、マウスの内臓と脳に起きる幼虫移行症がターゲットになっている。すると、miR-26b-5pおよびmiR-122-5pというmiRNAが候補として挙がったという。
上記のことから、マウスの幼虫移行症を診断するバイオマーカーの候補が発見された。よって、今後、本研究を基にヒトの幼虫移行症を診断するバイオマーカーの開発が進み、当該疾患の被害を最小限に喰いとめる治療法について議論されることを期待している。

miR-26b-5pおよびmiR-122-5pは、MAPK経路(細胞の増殖、細胞分化、発生に関連したシグナル伝達)、神経軸索の誘導、多能性幹細胞の制御に関与しているとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38867315/