感染症の蔓延、ケンカ(外傷)の防止をするため、新たなに保護された犬の管理では単独飼育をする場合がある。しかし、犬という生き物の性質を考慮すると、単独(社会的孤立)はストレスの原因となる可能性があるのだ(無論、限られたスペースで多頭飼育となると、それもストレスになる可能性がある)。では実際のところ、この仮説の通り、単独飼育の犬たちはストレスを感じているのだろうか。それを明らかにすることは、保護犬の福祉を向上する対策を講じる上で大変重要なことである。
冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、近々で新たに保護施設に収容された犬を①単独で飼育するグループと②ペアで飼育するグループの2つに分け、両群のストレス行動の頻度と尿中コルチゾール/クレアチニン比を比較する研究を行った。なお、同研究では、ストレス行動と尿中コルチゾール/クレアチニン比(0日目をベースラインとする)を7日間連続で記録している。また、ストレス行動には唇を舐める行動、クンクンと鳴く行動、耳を後ろに倒す行動が含まれているとのことである。すると、①に比べて②のストレス行動の頻度が少なく、且つ、尿中コルチゾール/クレアチニン比の減少幅が大きいことが判明したという。加えて、①に比べて②の保護施設での滞在期間は有意に短いことも分かったとのことである。
上記のことから、①よりも②の方が犬のストレスが軽減され、里親が見付かる可能性も高まることが窺える。よって、今後、ペア飼育が可能な犬を判別する方法について議論され、保護施設収容という環境変化に伴うストレスを感じる犬が1匹でも多く減っていくことを期待している。

①②どちらの管理方法であっても、犬どうしのコミュニケーションスキルには影響が無かったとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38865297/