熊本県は公務員獣医師の確保に取り組んでいる。大学生らに返還が免除される修学資金給付事業をアピール。家畜の診療にとどまらず、伝染病予防や食品衛生、動物愛護といった幅広い職務内容の周知にも努めている。
農林水産省によると、全国で毎年千人程度が大学の獣医学部を卒業し、獣医師免許を取得。2022年度の進路は主に動物病院などでペットを診療する「小動物診療」が47%を占める。NOSAI熊本(県農業共済組合)などに所属して家畜を診療する「産業動物診療」が12%。行政組織の一員である「公務員獣医師」は11%にとどまる。
記事によると、県は23年度、公務員獣医師として23人を募集したものの、受験したのは13人。内定を辞退した受験者もいて、最終的な採用は8人だった。県の公務員獣医師の総数は140人余り。3分の1を、退職したOBの再任用や会計年度任用職員が占めているという。
「獣医師として、民間の動物病院などでペット診療をやりたい学生が多いのだろう」と県健康危機管理課の弓掛邦彦課長。公務員獣医師の待遇については「民間と比べ、見劣りするわけではない」と説明する。県の場合、獣医師職に就いた職員には特別手当が15年間付く。新卒の年収は約460万円と、事務職より100万円ほど高い。
県は16年度に修学資金給付事業を創設し、35人が活用。12人が県の公務員獣医師として活躍しており、こうした実績を学生らにアピールする考えだ。
県の公務員獣医師の勤務先は多様で、各地域の保健所、食肉衛生検査所、家畜保健衛生所などに配属される。獣医師でもある県健康危機管理課の松本辰哉課長補佐は「選択肢が多いのも魅力。やりがいのある業務ばかりだ」と話している。
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<2024/08/16 熊本日日新聞>