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心雑音を呈した子猫の精査で発覚した世界初の心臓病

投稿者:武井 昭紘

生後4ヶ月の子猫がヨーロッパの動物病院を訪れた。何でも、心雑音の精査を目的としていたという。臨床症状は無い。大きな問題に発展するかは、検査の結果次第であった。超音波検査に進む。右心房が拡大していた。それも顕著に。読者の皆様の想像を遥かに越えるように。果たして、本症例に何が起きているのだろうか。

右心房拡大は重度にみえた。その拡大範囲は大きく、左側胸部まで達していたのだ。状況を把握するべくCT検査に臨み、血管造影が行われた。すると、超音波検査所見を裏付けるように、左側胸部にも造影剤が満たされた。バルーン状の空洞があるようだった。また、その空洞は右心房に繋がっていることが判明した。

症例を発表したヨーロッパの大学および動物病院らは、本症例を先天性右心房憩室と診断した。そして、血栓の形成を予測して、クロピドグレルの投与を始めた。しかし残念ながら、10ヶ月後、自宅で亡くなっているのが確認された。死因は何であろうか。右心房憩室が災いしたのか。今後、同様の病態を持つ症例のデータが集積され、当該疾患の実態が明らかになることを期待している。

死亡との関係性は不明ですが、診断から2ヶ月の時点で去勢手術が実施されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38520764/


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