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猫に起きる歯肉炎に関連しているリスクファクターを調べた研究

投稿者:武井 昭紘

アメリカの大学の研究によると、多頭飼育下にある猫は慢性歯肉口内炎を起こしやすいという。つまり、彼らの口腔内に生じる炎症に関連したリスクファクターが存在していると考えられるのだ。

 

冒頭のような背景の中、ブリストル大学は、1歳未満~6歳までの猫1500匹以上を対象にして有病率を算出し、3歳~4歳の猫300匹以上を対象にして発症に関連するリスクファクターを特定する研究を行った。なお、同研究では、オーナーが記入した問診票と獣医師が評価した猫の口腔内衛生スコアを基に歯肉炎の有無を判定している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫に起きる歯肉炎に関連しているリスクファクター◆
・1歳未満での有病率は約25%であった
・5~6歳での有病率は約56%であった
・有病率は加齢とともに増加した
・ドライフードのみを食べている猫に比べてウェットフードのみ又はウェットフードとドライフードが混ざった餌を食べいる猫の発症リスクは2.7倍高かった
・何らかの動物を狩る猫に比べて狩りをしない猫の発症リスクは2.1倍高かった
・生後6ヶ月の時点で撫でられても涎を出さない猫に比べて涎を出す猫の発症リスクは3.2倍高かった
・オレンジの毛色を持たない猫に比べて持つ猫の発症リスクは2.3倍高かった

 

上記のことから、猫の歯肉炎に関連したリスクファクターがいくつか存在していることが分かる。よって、今後、これらのファクターに着目して歯肉炎の発症メカニズムを解明する研究が進み、当該疾患の予防法・治療法に新たな見解が加わることを期待している。

口腔内衛生スコアの詳細は、リンク先の文献で確認ができます。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jsap.13737


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