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去勢・不妊手術に依存しないでストレート・キャットの過剰繁殖を防ぐ方法に関する初期研究

投稿者:武井 昭紘

特定の飼い主が居ないストレート・キャットの過剰繁殖が世界的に問題となっている。そのため、彼らを一時的に捕獲し去勢・不妊手術を施すプログラムが日々進行しているのだ。しかし、このプログラムには時間も、費用も、人手も必要である。猫の繁殖スピードを考えると、費用対効果が悪く非効率的で、何れ限界を迎える可能性までもあるのだ。他に有効な手段はないものだろうか。

冒頭のような背景の中、オーストラリアのメルボルン大学らは、猫以外の動物で避妊薬として使用されている透明帯サブユニット3(ZP3)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)に着目して、両物質をコードする遺伝子を組み込んだ猫ヘルペスウイルスの特徴をin vitroで解析する研究を行った。なお、同研究では、このウイルスを猫の腎臓由来の培養細胞に感染させて動向を観察している。すると、ウイルスが感染した細胞では、ZP3とGnRHの分子量に相当するタンパク質が発現していることが判明したという。また、ウイルスの増殖に関与するチミジンキナーゼの遺伝子を変異させることで、感染力が低下することも確認できたとのことである。

上記のことから、本研究で使用されたヘルペスウイルスは、猫の過剰繁殖を防ぐ一つの手段になり得ることが窺える。よって、今後、実際に生きている猫に同ウイルスを接種して効果を検証する研究が計画されるとともに、一般家庭で飼育されている猫や絶滅が危惧されている猫科の野生動物に同ウイルスが水平感染させないための防疫対策について議論され、実用化に向けた流れに進展がみられることを期待している。

メルボルン大学らによると、本研究で使用されたヘルペスウイルスにワクチンとしての機能も期待できるとのことです(要検証)。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38824082/


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