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単回の投与で犬の外耳炎を改善させる点耳薬の効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の外耳炎の治療には点耳薬が使用されることが一般的である。しかし、この治療には障壁がある。特に点耳薬を嫌がる犬で顕著になることだが、自宅での治療が犬の福祉を悪化させ、オーナーに莫大なストレスを齎す可能性があるのだ。また、ある研究によると、自宅で日々外耳炎の治療に取り組むよりも、獣医師が週1回治療をする方が効果的だとされている。つまり、犬の外耳炎の治療は、より少ない回数の点耳処置で、且つ、それでいて効果的な手法が理想だと考えられるのだ。

 

冒頭のような背景の中、動物用医薬品メーカーのMSDアニマルヘルス社らは、外耳炎と診断された犬300匹以上を対象にして、単回の点耳処置の効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、①モメタマックスウルトラという治験薬の単回投与が実施されており、②オスルニアと同等の成分の点耳薬を週に1回、計2回投与した時の効果と比較されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬の外耳炎に対する①の単回投与と②の2回投与の効果◆
・①を投与した犬143匹の約90%で治療が成功した(治療開始から28日目)
・②を投与した犬133引き金の約87%で治療が成功した
Staphylococcus pseudintermediusMalassezia pachydermatisが検出された犬での成功率は①で100%、②で約90%だった
・②に比べて①の治療成績は劣っていなかった

 

上記のことから、①の単回投与は犬の外耳炎に有効だと言える。よって、今後、動物福祉の向上のため、そしてオーナーのストレス軽減のために、①の単回投与が普及することを期待している。

外耳炎の重軽症は12点満点のスコアで評価されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38462781/


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