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4000匹以上の猫から採取した輸血用血液に潜む病原体について調べた研究

投稿者:武井 昭紘

ヨーロッパの動物用血液バンク調べによると、8000匹以上の犬から採取した輸血用血液の約4%が何らかの病原体についてPCR陽性であり、14%が血清学的検査陽性となったという。そこで、疑問が浮かぶ。猫の輸血用血液にも何らかの病原体が潜んでいるのだろうか。そして、その割合はどれ程なのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物用血液バンクらは、4000匹以上の猫から採取した7500パックを超える輸血用血液を対象にして、ヘモプラズマという病原体の有無を調べるPCR検査を実施する研究を行った。なお、同研究の対象となった輸血用血液はポルトガル、スペイン、ベルギーのドナー(猫)から提供されたものである。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆4000匹以上の猫から採取した輸血用血液に潜むヘモプラズマ◆
・ポルトガルのドナー4034匹の5.2%(212匹)が陽性であった
・スペインのドナー70匹の1.4%(2匹)が陽性であった
・ドナー全体の有病率は5.2%であった
・オス(1.9倍)、FeLV陽性個体(2.8倍)、冬季に献血した個体(2.5倍)から提供された輸血用血液で陽性になるリスクが高かった

 

上記のことから、猫の輸血用血液の一定割合にヘモプラズマが潜んでいることが窺える。また、特定の条件を満たした個体の感染リスクが高いことも分かる。よって、猫に対して輸血療法を適応する場合は、ドナーのウイルス感染は勿論のこと、ヘモプラズマによる感染の有無をチェックすることが望ましいと思われる。

本研究の対象となった輸血用血液は2022年に提供されたものだとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38803041/


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