生後5ヶ月の子猫がトルコの動物病院を訪れた。何でも、呼吸と摂食行動が困難になったというのだ。診察の結果、咽頭部に腫瘤が見付かった。それは、左側の頬粘膜と軟口蓋も巻き込んでいるように見えたらしい。果たして、子猫の身に何が起きたのだろうか。
CT検査に進む。大きさは4.5×6.5 cm2。軟部組織と硬い組織が混在し、塊状の病変と嚢胞状の病変を形成していた。外科手術によって完全に切除される。病理組織学的検査にて、外胚葉、中胚葉、内胚葉の構造を含む成熟奇形腫であることが判明した。術後8ヶ月に渡る追跡では、再発は認められなかったという。
症例を発表したトルコの大学らによると、猫の頭頚部に奇形腫が発生することは珍しいとのことだ。また、咽頭部の奇形腫となれば、1例報告されるのみに留まっているという。万に一つ、類似した病態を持つ猫に遭遇した場合は、本症例を参考にして頂けると幸いである。

今回紹介した症例の奇形腫は、性腺外(性腺以外に発生した腫瘤)に分類されるとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38799290/