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直腸にある又はトイレの砂の上にある猫の糞便サンプルを微生物学的に解析した研究

投稿者:武井 昭紘

糞便検査に用いるサンプルを得る方法は主に2つある。自然に排泄された糞便の利用と、直腸からの糞便の採取である。そこで、疑問が浮かぶ。果たして、どちらのサンプルを使うことが理想的なのだろうか。理論的に思考すれば、外界に晒されていない直腸内の糞便を選択した方が検査結果の正確性が増すように思われる。また、自然に排泄されてトイレの砂やトレイ、地面に接触したサンプルは外界の微生物に汚染されたと判断できるかも知れない。しかし反対に、例え微生物による汚染があったとしても検査結果に影響は及ぼさないのではと考えることもできる。真相はどうなのだろうか。

冒頭のような背景の中、アメリカおよび中国の大学らは研究施設で飼育されている猫10匹を対象にして、彼らの糞便サンプルを微生物学的に解析する研究を行った。なお、同研究では①採便棒で直腸から糞便を採取する方法と、②トイレに敷き詰められた砂の上に排泄された糞便を利用する方法の2つが比較されており、解析には遺伝子(DNA)の配列と量を決定する手法が採用されている。すると、②に比べて①ではDNAの量が少なくなるものの、両者の微生物叢に有意差は無いことが判明したという。

上記のことから、①と②に優劣は付かないと言える。よって、臨床現場の状況に応じて、どちらか一方を選択して頂ければ良いと思われる。

大学らは、②の場合は排泄から6時間以内に糞便を回収することを薦めております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38800749/


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