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犬の脾臓に認められる結節性病変が腫瘍である可能性を高めるファクター

投稿者:武井 昭紘

超音波検査で脾臓に結節が認められた。良性か悪性か。それが問題である。両者を明確に分けるとするならば、やはりFNAや生検しかないだろうか。あるいは、腫瘍の可能性を高める何らかのファクターが他にあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、チリの大学らは、首都圏にある動物の病理検査センターに協力を仰ぎ、犬の脾臓に発生した結節に関する病理組織検査のデータを解析する研究を行った。すると、500件を超える症例が集まり、以下に示す事項が明らかになったという。

◆脾臓の結節性病変が腫瘍である可能性を高めるファクター◆
・症例の半数以上(52%強)がオスであった
・83%が高齢であった
・約68%が純血種であった
・コッカースパニエル、ジャーマンシェパード、ラブラドールレトリバーが主な好発品種であった
・結節性病変が腫瘍である可能性を高めるファクターは下記の通りである
1.オスであること(約16倍)
2.2つ以上の結節があること(約4倍)
3.結節のサイズが2cm以上であること(2cmで2.2倍、3cmで2.9倍、4cmで3.6倍)
4.高齢であること(約1.2倍)

 

上記のことから、4つのファクターが脾臓の結節性病変が腫瘍である可能性を高めることが窺える。よって、何れかに該当する症例では、脾臓の結節性病変を精査することをお薦めする。

不思議なことに、オスの場合、年齢が高くなると腫瘍のリスクが低下していくとのことです(0.8倍)。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38473187/


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