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1ヶ月以上の長期間に渡って猫に対する肥満治療薬の効果を発揮させるインプラント

投稿者:武井 昭紘

人医療において、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(glucagon-like peptide-1 receptor agonists、GLP-1RA)は、肥満を患ったヒトの体重を減少させる効果を持つという。そこで、疑問が浮かぶ。このGLP-1RA は肥満の猫にも有効なのだろうか。また、投薬ストレスを抱えやすい彼らへの負荷を最小限にする薬剤送達方法はあるのだろうか。

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および製薬会社(Okava Pharmaceuticals)らは、OKV-119という製薬会社の名称を冠した薬剤を送達するインプラントを猫5匹の皮下に移植し、GLP-1RAの作用の下における彼らのカロリー摂取量と体重を測定する研究を行った。なお、同研究では、エクセナチドと呼ばれるGLP-1RAが採用されている。すると、エクセナチドは移植後すぐに検出可能の血中濃度に達し、84日間に渡って設定されたベースラインの濃度を越えて維持されたとのことである。また、移植から28日間において、5匹中4匹のカロリー摂取量と体重の減少が観察できたという。加えて、これら4匹の猫で5%の体重減少が112日間継続されたとのことである。

上記のことから、同研究で使用されたインプラントはGLP-1RAを猫に長期間送達する機能を有していることが窺え、そのGLP-1RAは猫に有効だと考えられる。よって、今後、GLP-1RAの用法・用量が体系化されることを期待している。

GLP-1RAの恩恵を受けられなかった猫が存在していることから、同薬剤の効果が発揮されない要因について追究され、治療成功率が向上することを期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38762728/


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