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短結腸症候群を患った猫の特徴を纏めた研究

投稿者:武井 昭紘

異常に結腸が拡大した巨大結腸症とは対称的に、猫は異常に結腸が短縮する短結腸症候群を患うことがあるという。果たして、当該疾患はどのような特徴を有しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは短結腸症候群と診断された猫90匹以上の診療記録を対象にして、そのシグナルメント、臨床症状、画像所見、病理組織検査所見などをデータ化する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆短結腸症候群を患った猫の特徴◆
・診断時の年齢は中央値で12歳であった
・最も一般的な症状は下痢であった(母集団の65%)
・次いで嘔吐(39%)、体重減少(39%)、食欲不振(26%)が続いた
・13%には消化器症状が認められなかった
・超音波検査を受けた症例の約80%に結腸の短縮と壁の肥厚がみられた
・内視鏡検査を受けた症例の約40%に潰瘍が認められた
・1例を除く全ての症例の病理組織検査でリンパ球性形質細胞性大腸炎が確認された
・残りの1例は結腸のリンパ腫であった
・これらの病理組織検査所見は小腸の生検サンプルでも確認できた

 

上記のことから、短結腸症候群は高齢の猫に多く、消化器症状を伴う場合があることが窺える。また、診断は症状、超音波検査、内視鏡検査、病理組織検査の組合せで下せることも分かる。よって、症状と超音波検査所見から鑑別リストに短結腸症候群が浮かび上がった猫の診察では、内視鏡検査および病理組織検査を検討することをお薦めする。

短結腸症候群の診察では、腫瘍(リンパ腫)の可能性があることも念頭に置きましょう。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38757679/


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