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犬の尿中アルブミン/クレアチニン比と慢性腎臓病との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

尿中にアルブミンが出現することは、腎機能の低下や慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)の重要な指標となっている。しかし、一次診療施設で広く使用されていれるものは尿中タンパク質/クレアチニン比(urinary protein to creatinine ratio、UPC)であって、尿中アルブミン/クレアチニン比(urinary albumin to creatinine ratio、UAC)ではないのが現状である。そこで、疑問が浮かぶ。このUACは、小動物臨床の泌尿器科診療で利用できないのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、欧米の大学らは、100匹を超える犬を対象にして、UPCと UACの関係性を突き詰める研究を行った。なお、同研究では犬を①臨床上健康なグループ、②急性疾患のグループ、③慢性疾患のグループ、④初期のCKDグループの4つ分けている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬のUPCとUACの関係性◆
・①のUACは中央値で2.1 mg/gであった
・②は5.8 mg/gであった
・③は104 mg/gであった
・④は54.2 mg/gであった
・10 mg/g以上を腎機能低下とすると④を判定する感度は81.8%、特異度は89.4%、陽性的中率は90%、陰性的中率は80.1%であった
・UACは血液検査の結果と有意に相関していた
・重度の高血圧の時にUACは著しく上昇した

 

上記のことから、慢性疾患各種とCKDの鑑別が必要になるが、UACは犬の泌尿器科診療に利用できることが窺える。よって、既存のマーカーや検査とUACを組み込んだ診断・治療アルゴリズムが作成され、CKDの管理が高精度化することを期待している。

UACとSDMAとの相関関係は高くなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38419297/


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