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外傷性縦隔気腫と診断された犬猫の診療記録を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

外傷性縦隔気腫は、外的刺激によって胸部を損傷して縦隔に空気が貯まる現象で、食欲不振、呼吸困難、チアノーゼなどを呈する病気である。そのため、過去の診療記録や現在進行形の症例を基に当該疾患の検査、診断、治療をアップデートして、救命率を上げていくことが重要とされているのだ。

 

冒頭のような背景の中、イスラエルの大学らは、過去18年において大学付属動物病院を訪れ、且つ、外傷性縦隔気腫(非医原性)と診断された犬猫の診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆外傷性縦隔気腫の犬猫に関する情報◆
・最も一般的な症状は気胸、皮下気腫、呼吸困難であった
・罹患犬は頻脈と頻呼吸を呈した
・罹患猫は低体温と頻呼吸を呈した
・動物外傷トリアージスコア(ATT)は中央値で3.5(犬)~4(猫)であった
・X線画像では気胸と肺挫傷が一般的な所見であった
・死亡率は18%であった
・猫(68%)に比べて犬(93%)の生存率が有意に高かった
・犬では陽圧喚起の必要性によって生死が分かれた
・入院期間は中央値で2日であった
・死亡した症例の入院期間は有意に短かった(0.6日)

 

上記のことから、縦隔気腫では循環器・呼吸器関連の症状が発現するものの、転帰は比較的良好であると言える。しかし一方で、亡くなってしまう症例が存在することも事実である。よって、今後、死亡リスクを下げる治療法について議論され、当該疾患の救命率が改善することを期待している。

症例は犬29匹、猫23匹で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38728066/


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