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妊娠中の若い猫に起きた腹部の異変と重度の貧血

投稿者:武井 昭紘

生後8ヶ月、長毛種の若い猫が2日に渡って元気を失った。彼女は妊娠中であった。そして、原因不明の重度の貧血を患っていた。精査のために、カナダの大学付属動物病院へと紹介された。

CBC、生化学検査、FeLV/FIV検査、腹部X線検査では、やはり貧血の原因は掴めなかった。腹部超音波検査に進む。胎児は7匹。生存していると思われる個体は1匹のみであった。また、子宮内と腹腔に液体貯留が確認された。

全血輸血をしながら帝王切開術を行うこととなった。卵巣と子宮は摘出する計画が立てられた。開腹し、腹腔内を探索。左の子宮角が捻じれていた。加えて、同部位には壊死、うっ血が生じていた。僅かな希望であった1匹も含めて、胎児は救えなかった。術後、若い猫は完全に回復した。

症例を報告した大学は、『猫で子宮捻転が起きることは稀』だと述べる。また、X線検査や超音波検査で子宮捻転と判断することは難しいと訴える。しかし、そうであったとしても、外科手術の必要性の有無を迅速に判定しなければならないと。もしも、類似した症状を呈する妊娠中の猫を診察している場合は、頭の片隅に子宮捻転の可能性を置いて頂けると有難い。

症例のPCVは10.8%であったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38694738/


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