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猫アレルギーの主なアレルゲンFed 1に対する抗体を含有するキャットフードの効果

投稿者:武井 昭紘

猫アレルギーのヒトは意外に多い。猫が好きで飼い始めてから気が付くヒトも、獣医師になってから気が付くヒトも多いのだ。しかし、アレルギーだとしても彼らは猫を遠ざけることはしない。生活の一部であり、仕事であるからだ。とはいえ、猫に近付けばアレルギー症状が出るリスクがある。好きという感情、職務を全うするという意志、そして付き纏うアレルギー。これらを解決する方法は無いものだろうか。また、理論的な手段があるとして、それはアレルギーをどれ程に軽減するのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、猫アレルギーの主体とされる、そして猫由来のアレルゲンFed 1に対する抗体(抗Fel d 1 IgY抗体)を含むキャットフードの効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、このフードを猫に4ヶ月間給与し、①給与前(2週間分のデータ)と給与後(給与から②1ヶ月、③2ヶ月、④3ヶ月時点で2週間分のデータ)にこの猫に接触した猫アレルギーのヒトに発現した症状を比較している。また、症状に関するデータはMASK-air®というアレルギーモニタリングアプリで管理されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆抗Fel d 1 IgY抗体を含有するキャットフードの効果◆
・33名が④までの記録を付けた
・総じてアレルギー症状(眼、鼻、喘息)のは大幅に改善した
・②の時点で症状、各人が従事する仕事の生産性、アレルギーを抑える薬の内服頻度が大幅に改善した
・①の時点で症状がコントロールできていない期間はデータが記録された期間の65%を占めた
・②の時点では35%に減少した
・④の時点では14%に減少した

 

上記のことから、抗Fel d 1 IgY抗体を含有するキャットフードは、ヒトの猫アレルギーを軽減する効果を有していると言える。よって、今後、療法食も含めて抗Fel d 1 IgY抗体を配合できるキャットフードを特定する研究が進み、猫に愛情を持つヒトが猫アレルギーから解放されることを期待している。

ピュリナ社がヒトの猫アレルギーを軽減する目的でキャットフードをリリースしておりますので、そちもご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38676659/


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