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犬の僧帽弁閉鎖不全症に続発する肺高血圧症を示唆するバイオマーカーの開発

投稿者:武井 昭紘

肺高血圧症は、犬の僧帽弁閉鎖不全症に続発する合併症で、病態の悪化を示す指標の一つである。そのため、この肺高血圧症を一早く察知することが重要だと考えられるのだ。では如何にして、それを実現するか。それが、獣医学の課題である。

冒頭のような背景の中、タイの大学らは、①臨床上健康な、あるいは、僧帽弁閉鎖不全症と診断された小型犬80匹以上を対象にして、彼らの血液(血清)に含まれるタンパク質に関する相違点を突き止める研究を行った。なお、同研究では、僧帽弁閉鎖不全症と診断された犬を②肺高血圧症を起こしていないグループと③肺高血圧症を続発したグループの2つに分けている(①28匹、②24匹、③29匹)。すると、③の血清においてPLEKHM3、DAGLA、TTLL6というタンパク質がアップレギュレートしており、HDAC7、MYOM1がダウンレギュレートしていることは判明したという。

上記のことから、②と③の血清中に含まれるタンパク質には違いがみられることが分かる。よって、今後、これらのタンパク質を基に肺高血圧症を早期に診断するバイオマーカーが開発され、極初期の肺高血圧症に対する治療法について議論が深まることを期待している。

ダウンレギュレートしているタンパク質が他にも存在するようですが、特定には至っていないとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2024.1327453/full


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