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猫の涙の量とストレスの関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

ストレスは生体に様々な影響を与える。それは時に精神のみならず身体にまで及ぶ程だ。この概念は小動物臨床において重要である。なぜならば、血液検査、超音波検査、内分泌機能検査などの結果が変わってしまうからだ。そこで、疑問が浮かぶ。繊細な作業を要する眼科検査はストレスの影響を受けるだろうか。例えば、涙の量を計測するシルマーティアテストの数値を変動させてしまうことはないだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ブラジルの大学は、臨床上健康な交雑種の猫24匹を対象にして、ストレスとシルマーティアテストの結果との関連性を調べる研究を行った。なお、同研究では猫たちを6日間ケージに収容し、①5日目にストレスを起こす刺激が無い状況で、②6日目にストレスを起こす刺激が有る状況でテストが実施している。また、同研究で設定された刺激は犬の鳴き声、猫の喧嘩、ヒトの話し声の録音データだとのことである。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の涙の量とストレスの関連性◆
・①に比べて②において猫の心拍数は有意に増加した
・①に比べて②においてストレススコアが有意高かった
・①の時の涙量は17.5±6.9 mm/分であった
・②の時の涙量は22.2±6.0 mm/分であった
・①に比べて②において涙量は有意に増加した

 

上記のことから、ストレスによって猫の涙量は増加することが窺える。これを受け、大学は訴える。②の涙量も参照値範囲内だとはいえ、キャットフレンドリーな診療態度は重要であると。読者の皆様が担当する猫のシルマーティアテストで予想外の結果が出たことはあるだろうか。もしも涙の量が予想を越えて多かった場合は、彼らが感じているストレスの解消に眼を向けて頂けると有り難い。

研究に参加した猫の年齢層は、生後8ヶ月〜7歳だったとのことです。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X241233116


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