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尿閉に対する治療を受けて医原性の尿路損傷が発生した猫の経過を調べて研究

投稿者:武井 昭紘

尿路閉塞を起こした猫の容態は急激に悪化する可能性が高い。そのため、この閉塞を迅速に解消する必要があるのだ。そして、その解消を達成するべく、尿道カテーテルが利用される。しかし、気を付けなければならないことがある。閉塞した尿道にカテーテルを挿入するのだ。万が一、尿道を傷付けてしまえば、病態が更に悪化していくことになるのである。

 

冒頭のような背景の中、ペンシルバニア大学は、過去13年間(2010年~2022年)に大学付属動物病院を訪れて、且つ、尿路閉塞と診断された猫の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、症例を①尿道の裂傷があると判定された猫と②判定されていない猫の2つのグループに分け、両者を比較している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆尿閉に対する治療を受けて医原性の尿路損傷が発生した猫◆
・尿路閉塞と診断された猫に尿道の裂傷を起きる確率は0.92%であった
・②に比べて①ではカテーテルを尿道に通すことがより困難であった
・②に比べて①が退院する可能性は著しく低かった
・また入院期間も長かった
・②に比べて①では過去にも尿路閉塞を起こした症例が多かった
・②に比べて①のヘマトクリット値は高かった

 

上記のことから、①の治療は困難を極め、経過が芳しくないことが窺える。よって、今後、尿道に裂傷が発生する原因を突き止める研究が進み、適切なカテーテルの使用方法が体系化され、尿路閉塞で苦しむ猫に対する診療レベルが向上することを期待している。

②に属する症例は①と年齢層が一致するように抽出されているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38244269/


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