11歳のビーグル(不妊メス)が、頸部腫瘤の精査のためにケンブリッジ大学附属の動物病院を訪れた。どうやら、腫瘤は深部の組織まで広がっており、増大しているというのだ。身体検査では、体表リンパ節の腫大と顔面の対称性が失われていることが確認された。MRI検査に進む。後頭骨には骨融解が起こり、中枢神経に腫瘤の浸潤が認められた。果たして、腫瘤の正体は何であろうか。
細胞診により、肥満細胞腫であることが判明した。と同時に、リンパ節に転移していることも分かった。オーナーは内科治療を希望した。ロムスチンとプレドニゾロンが処方された。しかし、これから自宅療養という時に重度の発作が起きた。結果、安楽死が選択された。剖検および病理検査によって、悪性度の高い肥満細胞腫が筋肉、頭蓋骨、硬膜、髄膜、脳に浸潤していることが確認された。
同大学は述べる。頭蓋骨の外に発生した肥満細胞腫がその骨を溶かし、中枢神経に浸潤した報告は過去に無いと。同様の病態を持つ症例は他にも存在するのだろうか。今後、顔面の対称性を失った症例や頭頚部の腫瘤わ抱える症例を対象に、発生状況を調べる研究が進むことを期待している。

細胞診の際には、抗ヒスタミン剤が投与されたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38450948/