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オーナーが動物病院に期待する医療レベルに関するヨーロッパの研究

投稿者:武井 昭紘

現代の獣医学は発展を遂げている。しかし、人医学と比べれば、その発展は遅れていると言える。つまり、提供できる医療レベルに差があるのだ。では実際のところ、この現実において、ペットを飼育するオーナーはどれ程の医療レベルを小動物臨床に求めるのだろうか。人医学と同等のレベルだろうか。あるいは、経済的な負担を加味し彼らの寿命を意識した相応のレベルだろうか。

 

そこで、ヨーロッパの大学らは、イギリス、オーストリア、デンマークで犬猫を飼育しているオーナーにアンケートを依頼して、動物病院に期待する医療レベルに関する意見を募る研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆動物病院に期待する医療レベル◆
・約52%は人医学と同等の検査や診断が受けられるべきだ考えている
・約58%は人医学と同等の治療オプションが選択できるべきだと考えている
・高度な獣医療レベルを過度(不必要)だと思うオーナーは約40%であった
・中立的な立場(どちらでもない)のオーナーは約45%であった
・ペットに対する愛着と期待する医療レベルは強く関連していた
・オーナーの年齢、家族構成、収入は期待する医療レベルに大きな影響を与えていなかった
・ペット保険の加入状況も同様だった

 

上記のことから、犬猫に愛着を強く持っているオーナーは高度な獣医療レベルを期待することが分かる。よって、該当するオーナーには、医療費の高騰に遠慮することなく、高度医療を提案することが望ましいのかも知れない。

愛着の強さはLexington Attachment to Pets Scale(LAPS)というスケールで評価したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38507341/


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