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犬の前十字靭帯断裂に対する外科手術と内科的管理の効果を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の前十字靭帯断裂は原則、外科的に治療される。しかし、ある研究によると、体重10kg以下の症例において、内科的管理は外科手術に劣らないとされている。果たして、内科的管理でも充分な治療成績を残せるのだろうか。経済的な理由により、外科手術を選択できないオーナーが居ることを想定すると、当該疾患に対する内科的管理の是非を議論する必要があるものと思われる。

 

冒頭のような背景の中、RVCは、前十字靭帯断裂の治療のためにイギリス国内の動物病院を訪れた犬800匹以上の診療記録(2019年分)を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬の前十字靭帯断裂に対する①外科手術と②内科的管理◆
・②に比べて①では短期間(診断から3ヶ月)で破行を呈する可能性が約26%低かった
・鎮痛剤を処方される可能性が長期間(診断から12ヶ月)では約32%低かった②に比べて①では短期間で約39%、長期間で33%低かった

 

上記のことから、②に比べて①の治療成績が良いと言える。よって、犬の前十字靱帯断裂に対する治療では①を優先させることが望ましいと考えられる。ただし、外科手術を選択できない症例のために、破行の程度と痛みを可能な限り軽減する内科治療が考案されることも期待している。

症例の年齢は1.5歳〜12歳までだとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36708945/


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