2歳のゴールデン・レトリバー(未去勢雄)がマサチューセッツ州の動物病院を訪れた。何でも、嘔吐や呼吸困難を主体としたアナフィラキシーを起こしたらしい。幸い、緊急処置で一命を取り留めるのだが、驚くべきはその頻度である。実に19ヶ月間において8回。重症の時は、腹水、低血圧、胆嚢浮腫も起こしたというのだ。果たして、呪われているかのように度々発生するアナフィラキシーは一体、何が原因なのだろうか。
IgE検査である抗原に陽性反応が出た。それはダニだった。ダニといえばマダニや皮膚病を起こす各種ダニを想像するが、そうではなかった。食品に潜むダニに陽性だったのだ。つまり、ドッグフードの管理に問題があったのである。しかし、オーナーを責めることは出来ない。なぜならば、このダニはフードの袋を閉じていても侵入するからだ。オーナーには侵入を防ぐべくフードの厳重な管理(通常ではやらないであろう管理)が求められた。フードを少量ずつ小分けにして、それを密閉し、冷蔵庫で保管するといった管理が。
以降1年間(論文の執筆時点まで)、アナフィラキシーは起きなかったという。症例を報告した動物病院らは述べる。食品に潜むダニが犬にアナフィラキシーを起こしたという報告は初めてだと。今まさに、愛犬の謎のアナフィラキシーに頭を抱えるオーナーや獣医師はおられるだろうか。もしも、おられならば、ドッグフードの管理を厳重にしてみると良いかも知れない。

本症例はマサチューセッツ州内で引越しをしてますが、引越し前後の家どちらでもアナフィラキシーを起こしたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38412013/