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猫の院内での攻撃性と家庭内での問題行動との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

動物が示す攻撃性は、その動物の性格、経験、感情など様々要因が関与していると言われている。そこで、疑問が浮かぶ。動物病院を訪れる猫の中にも攻撃的な個体が存在する。彼らの場合、その攻撃性は何処から来るものなのだろうか。例えば、院内で攻撃的になる猫は、家庭内でも問題行動を起こす。そういった因果関係はあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカおよび韓国の大学らは、米国在住で18歳以上のオーナーが飼育する猫を対象にして、彼らの院内と家庭内での行動に関するオンライン調査を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の院内での攻撃性と家庭内での問題行動との関連性◆
・約43%の猫が院内で攻撃性を示した
・この攻撃性の頻度は多頭飼育の猫で低かった
・また攻撃性は下記の家庭内における問題行動と正の相関関係にあった
1.オーナーへの攻撃性
2.見慣れないヒトへの攻撃性
3.見知った猫への攻撃性
4.犬への攻撃性
5.押さえられることに対する抵抗性
6.不適切な排泄行動
7.不適切な爪とぎ
8.分離不安を疑う行動

 

上記のことから、院内での攻撃性は家庭内での問題行動にリンクしていることが窺える。よって、院内で攻撃性を示す猫のオーナーには、問題行動に関する悩みについて問診をすることが重要だと考えられる。

調査の対象となった猫の殆どは、診察を受ける前に恐怖、不安、痛みを軽減する目的で薬剤を投与されていなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38415601/


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