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イソフルランを用いて全身麻酔をされた犬に起きる低血圧に対する有効な対処法

投稿者:武井 昭紘

麻酔・手術中に起きる低血圧は、動物の命を脅かす危機である。そのため、万が一、低血圧が発生した場合には、輸液療法、心拍出量・血圧を上げる薬剤の投与など必要な対処がとられるのだ。また、吸入麻酔薬の流量を減らすというのも一つの手であろう。そこで、皆様に問う。ご存知だろうか。どの対処法が有効なのかを。比較したことはあるだろうか。どの対処法がベストなのかを。

 

冒頭のような背景の中、オーストラリアのチャールズスタート大学は、臨床上健康で、且つ、正常血圧の犬の全身麻酔中に起きた低血圧に対する措置に着目して、14件の研究・試験をレビューした。なお、同研究では、イソフルランによる全身麻酔が対象になっている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆全身麻酔下の犬に起きる低血圧に対する有効な対処法◆
・イソフルランの流量を減らすことは有効であった
・しかしシーンを選ばす常に実行可能とは言えなかった
・急速な輸液療法は効果がなかった
・その中であってコロイド溶液が有効となるケースがあった(一貫性は無い)
・ドパミンの投与は一貫性をもって血圧を上昇させた
・ドパミンの投与が最も信頼できる対処法であった

 

上記のことから、イソフルランのコントロールと輸液療法はケースバイケースとなる一方で、ドパミンの効果は安定していることが窺える。よって、イソフルランで全身麻酔をかけた犬に起きる低血圧は、ドパミンの投与で対処することが望ましいと思われる。

ドパミンは心拍出量も一貫性をもって上昇させるとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38343013/


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