医学・動物学において、生体・遺体の年齢を推定することは重要なことである。そして、その方法の一つが歯髄と歯根の幅の比(pulp canal/root ratio、PCRR)なのだ。そこで、疑問が浮かぶ。このPCRRは小動物臨床にも応用できるのだろうか。例えば、保護された犬の年齢が不明な時、PCRRがヒントを与えてくれはしないだろうか。
冒頭のような背景の中、ポルトガルの大学は、50匹を超えるヨークシャーテリアの歯科診療で撮影されたX線画像を用いて、PCRRを算出する研究を行った。なお、同研究では、下顎の第1後臼歯の①近心根と②遠心根のPCRRが採用されている。すると、年齢層別に数値が異なり、下記のようにPCRRと年齢が負の相関関係にあることが判明したという。
◆ヨークシャーテリアの下顎第1後臼歯のPCRR◆
・2歳未満:①0.21 ± 0.09、②0.24 ± 0.11
・2歳〜4歳:①0.12 ± 0.04、②1.01 ± 0.03
・4歳以上:①0.09 ± 0.03、②0.09 ± 0.03
上記のことから、PCRRはヨークシャーテリアの歯科診療にも応用できることが窺える。よって、今後、様々な品種を対象にした研究が進み、犬全体の診療にてPCRRが利用されることを期待している。

歯髄と歯根の幅は3回測定されているとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38304483/