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犬の変形性関節症に対する間質血管細胞群の効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

間質血管細胞群(Stromal Vascular Fraction:SVF)は、脂肪組織から脂肪細胞を除去して残った細胞で構成されており、組織の修復、抗酸化、抗炎症、血管新生などの効果を有しているとされ、再生医療への応用が期待されているものである。また、今現在、犬の変形性関節症に対する治療法の開発が進んでおり、再生医療もその一つ挙げられているのである。つまり、当該疾患に対するSVFの効果を検証することは大変に有意義であると言えるのだ。

冒頭のような背景の中、ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンは、変形性関節症を患う犬の腹腔から脂肪組織を取り出してSVFを作製し、それを関節腔に自家移植する研究を行った。なお、同研究では、①膝に関節症を起こした5例(関節にして5ヶ所)、②股関節に関節症を起こした4例(関節にして7ヶ所)が対象になっている。すると、①の3例、②の2例において破行が改善したとのことである。また、①②のそれぞれ1例ずつが最長の3ヶ月まで良好な経過を辿ったという。

上記のことから、SVFは犬の変形性関節症に「一時的に」有効だと考えられる。よって、今後、破行を改善し、且つ、それを長期間維持する方法について議論され、可能な限り1回の移植で全てが完了する治療法が確立されることを期待している。

①の3例、②の2例における破行の改善はオーナーへのアンケートで、3ヶ月時点での経過は歩行解析で確認しているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38044819/


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