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フレンチ・ブルドックにおける中耳炎の有病率を画像診断で算出した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の中耳炎は、慢性的な外耳炎に続発して発生する一方で、耳科疾患を想定していない頭部MRI検査で偶発的に発見されることのある病気である。そのため、当該疾患を早期に診断する上で、有病率や疫学を明らかにすることが重要だと言えるのだ。偶然にして発見される中耳炎。この病気は、外見から見えずとも頻繁に起きているものなのだろうか。

冒頭のような背景の中、スペインの大学および動物病院らは、耳科疾患を含めた様々な病気になりやすいフレンチ・ブルドッグ120匹以上(耳の数にして250個以上)を対象にして、中耳内の滲出液の有無をMRI検査で確認する研究を行った。なお、同研究では、外耳炎・中耳炎・内耳炎を示唆する臨床症状を認めないフレンチ・ブルドッグが対象となっている。また、撮影された画像は、放射線科専門医によって評価されている。すると、母集団の58%(耳の総数の46%)に滲出液を認めることが判明したという。

上記のことから、フレンチ・ブルドッグは中耳炎の素因を持っていることが窺える。よって、外耳炎、頭を振る症状、眼振は勿論のこと、不定愁訴や原因の掴めない症状を訴えるフレンチ・ブルドッグの診察では、頭部(耳)のMRI検査の是非を検討することをお薦めする。

中耳内に滲出液が溜まっている症例の59%は、両耳が侵されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38284304/


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